行政による事業承継支援⑤【東近江市】~丸の内で地元企業の後継者を探す

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東京で探す後継者

2018年11月、東近江市の企業が東京で後継者探しを行って話題になりました。参加企業は滋賀県の東近江市にあり、経営的には黒字ですが、後継者がいないため数年先には廃業を考えている8社(食品加工販売、米粉製造、貸衣装、鉄鋼業等)です。

これらの企業を市がとりまとめて、後継者探しのための相談会を東京で開催しました。候補者と合意に至れば、1年間で技術の習得や経営理念を学び、その後、市の創業支援を受けながら、事業を引き継ぐという企画です。【図表】
 

図表 :東近江市が東京駅前で実施した「あとつぎさん募集企画」

(出典)東近江市のホームページ
 

東京駅近隣で開催した企画には42組49名もの参加がありました。東京で開催した理由が話題作りであったため、この数に市は大いに喜んだようです。

今回の開催後に、地元の滋賀県でも同じ催しを行う予定でしたが、東京での開催が話題になってしまったため、地元で開催する時に「廃業するのか」、「大丈夫なのか」という声や、冷やかしが増えることが懸念されるようになり、滋賀県での実施は見送ることになりました。

参加企業は今すぐに後継者が見つからないと困る先ではありませんが、中期的には承継が必要な先ばかりです。今回参加された候補者のリストは企業にシェアされ、今後面談希望者があればマッチングに繋げていくとのことでした。

参加企業の希望は、候補者にはまず社員として働いてもらい、良い人であれば1年後か2年後に事業を引き継ぎたいというものです。

しかし、企業から候補者に対しては、仕事以外にもさまざまな要望が多く、引継ぎ方法やその時期も不透明です。

例えば「仕事だけでなく、地域の催し物に必ず参加し、下働きができる人」、「移住して土地の習慣に馴染める人であること」、「事業をいつ引き継ぐかは具体的に決めていないが引き継がれるまで待てる人」等々です。

事業だけではなく、地域としての役割を引き継ぐことや、そもそも地域に認められなければ事業は引き継がないと思えるような要望も数多くあります。

参加した8社の経営者からは、今回参加した49名について、「若い人に託したいが、50歳を過ぎた企業のリタイヤ組が多かった」、「自社には女性向けの製品が多いので、女性社長を希望しているが、希望があったのは男性が多かった」等、

希望している人材イメージとのミスマッチを指摘する声もあったようです。

 

⇨ 行政による事業承継支援~まとめ

⇦ 行政による事業承継支援⑤【東近江市】

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[1] http://www.pref.shiga.lg.jp/b/shichoson/iju/news/20180919.html(2019年1月16日閲覧)

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