行政による事業承継支援①【神奈川県事業引き継ぎ支援センター】

神奈川県の中小企業の数は2014年時点で約200千社。2009年から2014年の5年間で16,545社減少しています。毎年休廃業や解散する企業が1千社以上あります(2017年は1,163社)。
経営者の平均年齢は全国平均(59.3歳)を上回る60.3歳で、全国で10番目に高齢です。後継者の不在率も高く、2016年の調査では、60歳代で63.4%、70歳代51.8%、80歳代でも38.3%が後継者不在企業となっています。
センターは2015年9月に開設し、これまでの相談件数は660件。4名で6地域を担当しています。相談をただ待っているだけではなく、案件を掘り起こしに県内を担当者が飛び回っているため、全く人が足りていません。
660件ある相談件数のほとんどは第三者承継の支援申し込みで、譲渡希望(売)案件は全体の40~45%、譲受希望(買)が55~60%程度の割合となっています。
売買金額は100百万円以下の案件が8割ですので、成約に至る割合は非常に低いのが実態です。【図表】
図表 :神奈川県相談受付状況(2018年7月末現在)

(出典)神奈川県事業引き継ぎ支援センターより聴取を基に作成
神奈川県では後継者バンクを併設しており、県内の起業希望者で、創業セミナー等を受講した人材であれば登録できることになっています。ただ、これまで50名が登録していますが、実際に成約に至ったのは2件だけです。
少ない理由としては、例えば商店の場合であれば、2階に住んでいるオーナーはどうするのか、借入がある企業の場合は、現社長の個人保証をどうするかという点が常に障壁になります。
相談情報を全国各地域で共有する仕組みがあり、情報交換会も行っているようですが、基本的に県外企業とのマッチングは少なく、実現したのは過去に1件だけとのことでした。
⇨ 行政による事業承継支援②【福岡県事業引き継ぎ支援センター】
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