日本企業に必要なPMIとは

日本電産(株)の永守重信会長は、M&Aの成功には「価格」「PMI」「シナジー」という3つの条件があると言います。
「価格」はもちろんですが、「PMI」については、日々のオペレーションは現地に任せても、経営方針や現地の意識改革をしっかりと行い株主の視点から経営に関わることが重要。
そして「シナジー」については、買収金額以上の価値を生み出すには「シナジー」を追求するしかないと説きます。(「クロスボーダーM&A海外企業買収における課題とその克服に向けて」経済産業省)
ウイリス・タワーズワトソンはM&Aの際、「主従関係をはっきりさせて強いリーダーシップで統合を行う」ことが必要だと指摘します。
サラリーマン型の大企業では難しいかもしれませんが、オーナー型の中堅・中小企業であれば可能ではないでしょうか。トップが強いリーダーシップを発揮し、コミュニケーションをしっかり行えれば、PMIはうまく行くと思います。
人材が流動化している社会で組織を運営する海外企業では、組織機能が職務単位でモジュール化されています。
モジュール型の社会では、新人からCEOまで、ポジションが空けば代替えの人がそのポジションを埋めることができます。
しかし、日本の大企業は長期雇用を前提としており、人にポジションがつく、いわゆる「すり合わせ型」になっています。
このため、日本の大企業出身者からは米国型のプロ経営者が出にくく、トップマネジメントを担えるプロフェッショナルな経営人材は限られます。
こうした社会環境の下では、買収した各社のトップマネジメントを入れ替えるのではなく、彼らと新たな株主がしっかりとコミュニケーションを行う「永守式」のPMIが重要です。
新会社の経営方針の浸透と目指すべきゴールを株主と経営陣が共有できれば、M&A後のシナジーの最大化は可能になると考えます。
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