M&Aのプレミアムは事業シナジーへの期待

森口教授の調査では「シナジー効果を予算に目標値として組み込み、進捗のモニタリングと達成度の評価をしている」と回答した企業は、全体の4割弱しかありませんでした。
この結果を見ると、多くの日本企業はM&Aでプレミアムを払う際、シナジー効果を考えていないように思えます。【図表】
図表:シナジー効果の予算への組み込み状況

(出典)森口『わが国企業におけるM&Aの成否評価とPMIの実態』[2017]
プレミアムの幅は、売り手と買い手の選択肢、競合相手、オークションか相対取引か、時間をかけた交渉が良いのか悪いのか等々、交渉の際の状況次第で変わってきます。それらは単に計算によって決まるものではなく、また、他社事例がそれほど参考になるわけでもありません。
ウイリス・タワーズワトソンは、このプレミアムを正当化する根拠となるものこそが事業シナジーであり、シナジーを実現するための手段が本来のPMIであるとしています。
そして、PMIを行わずシナジーの創出が実現できない場合は、結果としてM&Aが、企業価値を「破壊」してしまうとも指摘しています。(ウイリス・タワーズワトソン『M&Aシナジーを実現するPMI』東洋経済新報社[2016])
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