増加するM&AによるExit ~ 日米市場比較

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下の図は、日米のベンチャーキャピタルが、IPO(株式公開)によってExitした件数とM&AによってExitした件数を比較したものです。

米国では、2000年のITバブル崩壊まではIPOがベンチャー投資先の出口でしたが、近年はM&AによるExitの方が圧倒的に大きくなっています。

日本でもExitはIPOが主でしたが、昨今はM&Aの件数が増加しています。例えば2014年からの3年間の推移を見ても、VC(ベンチャーキャピタル)が投資先のExit方法としてM&Aを利用する割合が急速に増加し、全体の4割を超えるレベルにまで達しています。【図表】
 

図表:VC投資先のIPO及びM&A件数の日米比較

(出典)中小企業白書[2018]

 
PEファンドがMBOを行った人材関連ビジネスの会社でCFOをしていた時、最初はIPOを目指していましたが、結果として競合他社と合併をすることとなりました。

MBOからわずか半年でIPOを取りやめて競合他社との企業統合を選んだ背景には、両社の業界再編にかける壮大な想いがありました。しかし、M&AによるExitという経営陣の決断に対し、ファンドはかなり抵抗感を持っていました。

ファンドとしては、「たった半年で投資先を売り飛ばして利ザヤを稼いだ」と世間から見られることを懸念したのかもしれません。「本当にやるんですか、IPOじゃなくても良いんですか?」と何度も確認をされました。

当時は、事業会社がM&AでのExitを希望し、それが非常に良い条件であったとしてもファンドが躊躇するほど、M&AによるExitが受け入れられにくい社会的環境だったのです。

今日ではM&Aは一般的になり、ファンドも投資の時点から、IPOだけではなくM&AによるExitを前提とするケースも非常に多くなりました。しかし、米国と比較すると日本のIPO比率はまだ高いのが実情です。この理由のひとつとして、米国の上場基準が日本と比較してハードルが高いことがあげられます。

例えば、NASDAQには3つの市場がありますが、その中で最も時価総額が小さいスタートアップ向けの市場はNASDAQ Capital Marketです。

同市場の上場基準は、利益、資本、時価総額のどれかを満たすことですが、上場審査時の時価総額基準は50百万ドル(約55億円)となっており、 東証マザーズの上場審査における時価総額の最低ライン10億円と比較するとかなり厳しい条件です 。時価総額の面だけではなく利益基準、資本基準についても、スタートアップ企業にとって米国の上場基準はかなりハードルが高く感じられます。

この高いハードルをクリアしなくても、M&AでExitできるのであれば、投資家がM&Aを選ぶのは当然と言えます。

今後は、日本でも大企業のスタートアップ買収やシリアルアントレプレナーと呼ばれる起業しては事業を売却(IPO又はM&A)する起業家が、より一般的になってくると思われます。

そうなると、上場するまでの時間やコスト、上場後の更なる成長のための資金調達等を考え、日本でも米国同様、M&AによるExitを目指す企業の増加が加速すると考えます。

 

⇨ 日本特有の「M&A仲介」という業態

⇦ 中小企業の売買数は日本の100倍~米国の巨大な小規模M&A市場

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