地方銀行はM&A仲介会社の宝箱で良いのか①

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中堅・中小企業の後継者問題がクローズアップされるに従い 、M&A支援業務や事業承継支援業務に力を入れる地方銀行が増加しています。

地方銀行は挙って日本M&Aセンターが実施するM&Aエキスパート試験を受講し、M&Aシニアエキスパートを取得した行員が何名に達したかを日経新聞等のメディアでPRしています。

「みちのく銀行、M&A支援体制強化 専門資格者増員」(日本経済新聞 2019年1月17日)
「秋田銀、M&A支援資格保有者60人に」(日本経済新聞 2019年8月1日)

(M&A、事業再生、事業承継等に関する資格の内容について興味がある方は、BLOGの☞「事業承継、事業再生、M&A関係の資格を取りたい!」という人のためにをご覧下さい。私が実際に受験や受講した際の経験を載せています。)

さて、それほど地方銀行が注力しているM&Aですが、【図表1】を見ると、その理由もわかります。

これは、地方銀行の事業承継に関する相談の受付件数です。2014年以降、相談件数は毎年大きく伸び、2016年の件数は2012年と比較すると、2.6倍に達しています。

事業引き継ぎ支援センターへの相談件数は2016年時点でが6,292件。これに対し、地方銀行の相談受付件数はセンターの約4.5倍にも相当する28,179件となっています。

 

図表1:地方銀行の事業承継に関する相談の受付件数


(出典)中小企業白書[2018年]

日本バイアウト研究所の杉浦慶一氏が実施したアンケート[1]調査では、地方銀行がM&A支援業務に於いて外部機関と連携する先は、「税理士」が90行と単独では圧倒的に多くなっています。

しかし、M&Aファームとコンサルティングファームを合計した相談件数は91行と、税理士への相談件数よりも多くなっています。【図表2】

図表2:事業承継支援業務の連携先(複数回答)

(出典)杉浦慶一「地方銀行による地域密着型金融の推進とM&A・事業承継支援業務」[2014]

地方銀行の支援体制を確認するために、第三者承継に係る業務について調査した結果が【図表3】です。

各地方銀行の中でM&A支援業務に従事している人数は、1~3名以下の銀行が全体の約3分の2を占め、4名以上の人員を確保している銀行は、全体の3分の1程度しかありません。

図表3:M&A支援業務に従事している人員数(兼務・子会社含む)

(出典)杉浦「地方銀行による地域密着型金融の推進とM&A・事業承継支援業務」[2014]

一方で、M&Aの一般的なエグゼキューション業務(相手候補企業の選定、アプローチ、条件交渉)については、「全ての案件において内製化して手掛けている」、もしくは「内製化して手掛けることが多いが、案件によっては外部機関と共同で行う場合や外部機関が行うこともある」との回答がほぼ半数の47.4%にも達しています。

この状況から杉浦氏は、地方銀行によるM&A業務体制は、銀行間での格差が大きく、まだ発展途上の部分があるとしています。【図表4】

 

図表4:M&Aの一般的なエグゼキューション業務の内製化状況

(出典)杉浦「地方銀行による地域密着型金融の推進とM&A・事業承継支援業務」[2014]

M&Aの業務体制は、銀行間でかなり差があるようです。しかし、地方銀行の顧客や情報はM&A仲介会社にとっては、宝の山となっています。

しかし、M&Aの際、最も重要なことは何でしょうか。情報?ディールを完了させるスキル?それとも法務や税務?

それについては、地方銀行はM&A仲介会社の宝箱で良いのか②で説明します。

⇨ 地方銀行はM&A仲介会社の宝箱で良いのか②

⇨ 「事業承継、事業再生、M&A関係の資格を取りたい!」という人のために

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[1] 「地方銀行によるM&A・事業承継支援業務に関するンケート調査」のタイトルで実施。 第一、第二地銀、合計102 行の回答に基づくもの。

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