こんなに高額!M&A手数料

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公的機関であっても頼みはM&A仲介会社

事業引き継ぎ支援センターでは、相談を受けた案件全てをマッチングさせられるわけはありません。買い手が見つかりそうな案件だとセンターが判断すれば、まずは登録民間支援機関(金融機関、M&A仲介会社)等への橋渡し(センターでは2次対応と言われます)を検討します。

しかし、センターが受ける相談のほとんどは、小規模事業者や個人事業者からのものです。登録民間支援機関に橋渡しされる案件はそれほど多くはありません。

例えば神奈川県の場合、2018年7月時点で167件の事業譲渡の希望がありましたが、この内2次対応となったものは3件しかありませんでした。相談があった案件の内、登録民間支援機関が支援してくれそうな先は、2%にも満たないというのが実情です。これが前回、打率1割未満と申し上げた理由のひとつです。

登録民間支援機関に案件を依頼できない大きな理由は、現状のM&A仲介会社の報酬体系にあります。M&A仲介会社の手数料はレーマン方式[1]でよく計算されます。例えば売却対象となる企業の譲渡金額や企業価値に対し、5億円以内であれば5%を手数料とする等が決められています。そして、その基準には最低報酬金額が定められており、安い会社でも5百万円、上場しているM&A仲介会社になると、最低報酬金額は15百万円~25百万円にもなってしまいます。

つまり簡単に説明すると、企業が20百万円で売買された場合、売却側が仲介会社に支払う報酬は5%の1百万円ではなく、最低でも5百万円が必要ということです。上場している仲介会社に依頼した場合は、売却金額である20百万円の全てが、手数料となってしまう可能性もあるわけです。また成功報酬以外にも、仲介契約を締結すると、相手を探すために毎月支払う手数料や中間金が数百万円単位でかかる場合もあります。M&Aを行う場合は、このように高額な手数料を支払わなければならないため、中小企業は第三者への譲渡よりも、廃業を選ぶか公的機関に依頼するしかないのが実情です。

そして、最後の頼みの綱である公的機関であっても、基本的には2次対応と言われるM&A仲介会社等の民間企業へ紹介することしかできないため、結果的にM&Aのマッチング率が1割未満という状況になってしまいます。

中小企業のM&Aが一般的になり、事業引き継ぎ支援センターに持ち込まれる相談案件も増えています。例えば、全国のセンターのデータベースを民間にも開放してマッチング率を上げる等の施策は効果的かもしれません。また、中小企業が事業承継に必要なM&Aを行う際に、国が何らかの補助金を手当する、或いはM&Aの相手先を探す手間を簡素化し、低額手数料で支援が出来るような仕組みを考えることも必要になると考えます。

⇨ 地方銀行はM&A仲介会社の宝箱で良いのか①

⇦ M&Aマッチング打率「1割未満」の事業引き継ぎ支援センター


[1] M&A仲介の際一般的に使われる成功報酬体系。取引金額に応じて報酬料率が逓減する仕組み。算出基準は譲渡金額基準、移動総資産基準、企業価値基準等、仲介会社によって異なる。

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