中小企業の第三者承継(M&A)は増えているのか

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後継者は本当に不在なのか

2017年の中小企業白書では、中小企業の後継者の選定状況や、承継するのが親族か親族以外かの割合、更に親族以外の承継に於ける属性の内訳を調べています。[1]
 

図表 :後継者の選定状況 親族外承継の状況

(出典)中小企業白書[2017]
 

この調査によると、中規模法人で後継者が決まっている割合は4割超、後継者候補がいる割合も合わせると全体の約7割で後継者(候補)が決まっているようです。

後継者(候補)との関係を親族内か親族以外かで見てみると、親族以外の人材を後継者(候補)とする割合は33.4%となっています。その内訳は「親族以外の役員」が57.9%、「親族以外の従業員」が33.9%と、親族以外ではあるものの、全く関係ない人材ではなく、これまで社内で一緒に事業を行っていた人材が大半を占めています。

一方、個人を含めた小規模法人では、後継者が決まっている割合は約半数、候補者がいる場合も合わせると中規模法人同様、約7割が後継者(候補)がいると回答しています。

この7割のうち親族以外の人材を後継者(候補)とする割合は、小規模法人で9.7%、個人事業者では4.9%となっており、その承継者は中規模法人同様、従業員や役員等、社内の人材が大半を占めています。

何が正しいのか

これらのデータから、企業規模が大きくなるにつれて親族外承継の割合が増えるものの、その引継ぎ先は企業内の従業員や役員が殆どであり、第三者への事業承継はあまり行われていないことがわかります。

中小企業の後継者不足はどの程度深刻なのか?という観点から考えると、中小企業白書の調査データと帝国データバンクの調査データの違いの大きさをどう評価すれば良いのか悩みます。

今回見た中小企業白書では、「後継者候補が決まっている、或いは後継者候補がいる」と答えた企業が、個人、小規模、中規模企業とも65~70%に達しています。

しかし、前回のなぜ中小企業の数は減るのか②で見た帝国データバンクの調査では、売上100億円未満の企業の後継者不在率は57%、全企業の8割を占める売上1億円未満の企業では、後継者不在率は78%に達しています。

これは、、、真逆の結果ですね。

恐らく質問の方法等によって回答も変わってくるのかもしれませんが、このような統計数字を見ると、後継者問題や第三者事業承継について、何が事実なのか分らなくなってしまいます。

 

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⇨ データで見る中小企業の第三者承継(M&A)

⇦ なぜ中小企業の数は減るのか②


[1] (株)東京商工リサーチが 2016 年 11 月に中小企業 15,000 社を対象にしたアンケート調査(回収率 28.7%)及び、全国商工会連合会 及び商工会議所の会員のうち、小規模事業者を対象にした Web アンケート調査(有効回答件数 3,984 者)。主に経営者が50歳以上の中小企業・小規模事業者が対象。

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