なぜ中小企業の数は減るのか②

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中小企業者数が減少している大きな原因のひとつに経営者の高齢化があります。1995年には中小企業経営者の年齢ピークは47歳でしたが、20年経った2015年にはピークが66歳に移動し、あと数年で70歳代に突入する勢いです。【図表1】
 

この状況を放置すれば、2025年までに新たに70歳に達する事業者は30.6万人、75歳に達する事業者は6.3万人となります。そしてその結果、2025年頃までに650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると経済産業省と中小企業庁は試算しています。

 

図表 1:年代別にみた中小企業経営者の分布

 

(出典)経済産業省「中小企業・小規模事業者の生産性の向上について」[2016年]

経営者の年齢を年商規模別に調べた帝国データバンクの調査では、70 歳代及び80 歳以上における年商1億円未満の企業の割合は25%と同世代の経営者の中で突出しています。

年商500億円以上の企業に於ける同年代の割合が7%程度であることと比較しても、その高さは際立っていると言えるでしょう。

この結果から帝国データバンクは「小規模企業では事業承継がスムーズに進んでいないことが示唆される」と結論づけています。【図表2】

 

図表 2:年商規模別社長の年代構成比

(出典) 帝国データバンク「全国社長年齢分布」[2018年]

 

そこで、これらの数字の意味を探るため、年商1億円未満の企業数が、全企業の内どれぐらいの割合を占めるかを、平成28年経済センサス基礎調査のデータ(総務省)で調べてみました。

その結果、対象企業358万社の内、年商1億円未満の企業は全体の8割以上にあたる約290万社であることがわかりました。日本の企業の8割が売上1億円未満であるということは驚きです。【図表3】

 

図表 3:売上別企業数

(出典) 総務省 平成28年経済センサス活動調査

 

図表2の結果を見ると、売上1億円未満の小規模事業者は高齢化が特に進んでいることがよくわかります。しかし経営者の高齢化が進み、事業承継も進んでいないことはわかりますが、これらの企業がそれで困っているのかどうかはわかりません。

個人的には、小規模事業者は、事業に関わる人員が少人数であり休廃業しても周りに与える影響が小さいため、事業を承継することをあまり真剣に考えていない経営者も多いのではないかと考えます。

実際に、企業者全体の51%を占める個人事業者や小規模企業には常用雇用者が少ないため、その休廃業が雇用全体に与えるインパクトや社会的な影響は中規模以上の法人と比較すると限られます。

帝国データバンクが、分析可能な33万4,117社を調査した結果によれば、売上が1億円未満の企業では、依然として約8割が後継者不在と回答しており、また、売上1億円以上100億円未満の企業では、後継者不在率が2011年と比較すると1.7%~2.1%悪化しています。

しかし、売上100億円以上の企業では、後継者不在率が4割、1,000億円以上の企業では同2割強と、2011年の調査時と比較すると後継者の不在率は改善しています。【図表4】

 

図表 4:売上規模別後継者不在率

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  (出典)帝国データバンク「2017年後継者問題に関する企業の実態調査」

 

このことからも、売上が大きく従業員や取引先等、社会的な影響が大きい企業であるほど、後継者への事業引き継ぎをしっかりと考えていることがわかります。

これに対し、企業全体の8割を占める売上1億円以下の企業や、10億円未満の企業に関しては、後継者の候補がいないというだけではなく、後継者を見つける努力をしていない様にも感じられます。

売上以外の財務内容は不明ですが、こういった小規模な企業が、第三者への事業承継(事業売却)を積極的に考えられるようになれば、色々な問題が解決する可能性があると思います。

例えば、0→1の起業を行うよりも、ある程度基礎がある企業を買収して事業を引き継いだ方が、成功の確率は上がるはずです。

起業を促すだけではなく、後継者のいない企業を起業希望者とマッチングできるようになれば、事業を承継したい人にも起業したい人にもメリットがあり、中小企業数の減少という問題にも対応できるのではないかと考えます。

  

⇨ 中小企業の第三者承継(M&A)は増えているのか?

⇦ なぜ中小企業の数は減るのか?①

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